【動画公開】個人情報保護法のオプトアウト制度(本人同意のない個人データの第三者提供)Part1
個人情報保護法のオプトアウト制度は、本人同意を取得せずに個人データを第三者提供できる制度である。本記事では、オプトアウト制度の基本構造、第三者提供との関係、実際の事例を解説する。本記事はオプトアウト制度の基礎を解説するものであり、別記事(オプトアウトPart2)で、オプトアウト制度の規制強化の背景、規制強化の流れ、個人情報保護法2026年改正対応を解説整理する。
様々な組織で、個人データの第三者提供に関する判断が日常的に発生する。「本人同意がなければ第三者提供できない」という誤解も見られるが、個人情報保護法では制定当初よりオプトアウト制度が存在する。
オプトアウト制度は、企業情報サービス、人事情報サービス、住宅地図、名簿業など幅広い事業で利用されている。しかしながら、オプトアウト制度への批判も強く、規制強化の一途をたどっている。
動画解説
制度の全体像については動画でも詳しく解説している。
オプトアウト制度は本人同意原則の例外である
個人情報保護法では、個人データの第三者提供について本人同意が原則である。
しかし、法定要件を満たしたオプトアウト手続を実施する場合には、本人同意を取得せずに第三者提供を行うことが認められている。
なお、「本人同意が原則」とはいえ、個人情報保護法では幅広い例外が認められており、大部分の例外規定は、「本人同意取得が困難な場合」などに限定されない。そのため、同意取得を試みずに、オプトアウト制度を第一選択とする方法も適法である。
ただし、消費者からの信頼獲得や近年の規制強化の流れを踏まえると、オプトアウトを安直に選択することは望ましいとはいえない。
オプトアウトとは何か
オプトインとオプトアウト

- オプトイン=同意
- オプトアウト=拒否
個人情報保護法特有の概念ではなく、広告メール送信規制など他の分野でも見られる。
- オプトイン規制:同意がなければ広告メールを送付不可
- オプトアウト規制:拒否があれば以降広告メールを送付不可
オプトインとオプトアウトの違い

個人情報保護法上のオプトインとオプトアウト
- オプトイン:本人が事前に同意した場合のみ第三者提供が可能となる。
- オプトアウト:本人から拒否の意思表示があるまでは第三者提供が可能となる。
拒否前の提供はどう扱われるのか
オプトアウト制度では、拒否が行われる以前の第三者提供は適法となる。
本人から拒否があった後は提供を継続できないが、それ以前の提供が遡及的に違法となったり、削除が要求されるわけではない。この点に対する批判はありうるところだが、法制度上はこうなっているところである。
個人情報保護法におけるオプトアウトの実務事例
企業情報サービスの事例
企業情報サービスでは、代表者や役員氏名などの情報が提供対象になることがある。
代表者情報が公開情報であったとしても、個人データに該当することが一般的であり、この場合には、その第三者提供について法的根拠が必要となる。
このため、オプトアウト制度が活用される場合がある。
人事情報サービスの事例
企業の人事異動情報を提供するサービスにおいても、個人データの第三者提供が問題となる。情報が非公開情報であろうとなかろうと、個人データに該当することが一般的であり、第三者提供の法的根拠が必要となり、オプトアウト制度を法的根拠として運用する例が存在する。
住宅地図・カーナビの事例
住宅地図サービスや電話帳データベースを利用したカーナビゲーションサービスでも、個人データの第三者提供が問題となりえ、オプトアウト制度が利用されることがある。
学会・資格者情報の事例
学会が指導医情報を会員向けに提供する場合や、資格者情報を公表する場合も、個人データの第三者提供に関する法的整理が必要となる。
同意取得による運用だけではなく、オプトアウトによる運用が選択される例もある。
病院検索・採用データベースの事例
病院検索サービスでは、病院情報の中に管理者・代表者名等を含む場合があり、オプトアウトによる運用が選択される例もある。
採用情報を提供するサービスでも、担当者連絡先情報などを含む場合があり、オプトアウトによる運用が選択される例がある。
名簿業者の事例
名簿業者や営業先リスト提供事業者は、オプトアウト制度と密接に関係している。
世間では卒業名簿の売買が注目されることが多いが、実際には法人営業向けデータベースなど、多様なサービスが存在する。
なぜオプトアウト制度の規制強化が続いているのか
オプトアウト制度は、個人情報保護法制定当初から認められている制度である。
一方で、個人データ流通の拡大や名簿流通への社会的懸念を背景として、継続的に厳格化されてきた。
個人情報保護法2026年改正を理解するための前提知識
個人情報保護法2026年改正対応を検討する際には、まず現行オプトアウト制度の趣旨と運用実態を理解しなければならない。
制度の歴史的経緯を把握することで、なぜ改正が必要とされたのかを正しく理解できる。
改正内容の詳細については次回の解説記事および動画で整理する。
Q&A
Q1. 個人情報保護法では本人同意がなければ個人データを第三者提供できないのか。
A. 原則は本人同意である。ただし、法定要件を満たしたオプトアウト制度などの例外が存在する。
Q2. 公開情報であれば自由に第三者提供できるのか。
A. 公開情報であっても個人データに該当する場合があるため、第三者提供には法的根拠が必要である。
Q3. オプトアウト制度は名簿業者だけが利用する制度なのか。
A. 名簿業者だけではない。企業情報サービス、人事情報サービス、住宅地図、学会情報提供など、多様な分野で利用されている。
動画解説
まとめ
オプトアウト制度は、個人情報保護法における第三者提供規制の重要な例外制度である。
制度は企業情報サービスや人事情報サービスなど多くの実務で利用されている一方、規制強化の対象でもある。
個人情報保護法2026年改正を正しく理解するためには、まずオプトアウト制度の基本構造と実例を把握することが重要である。
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執筆者プロフィール
弁護士 水町雅子(第二東京弁護士会、宮内・水町IT法律事務所所属)
SE(ITシステム開発)、コンサルティング等をシンクタンクにて行った後、弁護士登録。内閣官房・特定個人情報保護委員会にてマイナンバーの制度設計、ガイドライン作成、PIA制度化等を行う。
個人情報・ITに関して、首相官邸パーソナルデータに関する検討会参考人、内閣府「マイナンバーの利活用拡大のための検討タスクフォース」委員、こども家庭庁「こどもデータ連携の取組に関する検討会」委員、厚生労働省ITシステム等技術審査委員、東京都東京デジタルサービス会議構成員、東京都足立区情報公開・個人情報保護審議会委員、つくば市プライバシー影響評価制度検討懇話会委員、総務省・経産省・AMED実証事業等の支援等、実績豊富。
マイナンバー、個人情報、AI、医療情報、IT法務、企業法務、行政法務等に対応。書籍・論文執筆・講演のほか、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、雑誌、TV等メディアコメント多数。
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