【動画公開】連絡可能個人関連情報とは何か|個人情報保護法2026年改正で企業が対応すべき事項
本記事のポイント
2026年個人情報保護法改正では、「連絡可能個人関連情報」という新しい分類が導入される。
これにより、これまで個人情報に該当しない場合があったメールアドレス、電話番号、住所、Cookie等についても一定の保護が及ぶこととなる。
今回の改正は、個人情報の定義を広げる改正ではなく、従来十分な保護が及んでいなかった連絡先情報等に対して新たな規制を設けるものである。
本記事では、連絡可能個人関連情報の定義、制度趣旨、禁止される行為、企業実務への影響、企業が実施すべき対応について解説する。
担当者がまず確認すべき事項
- 氏名なしで電話番号やメールアドレス、住所、連絡先情報などを取得していないか
- それらを「非個人情報」と整理していないか
- Cookieや類似技術を利用していないか
- 電気通信事業法の外部送信規律への対応状況を確認しているか
- 取得方法や利用方法に法規制違反のおそれがないか
動画解説
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タイムライン
00:00 はじめに
01:29 連絡可能個人関連情報規制の背景
03:50 連絡可能個人関連情報とは何か
04:44 法律上の定義
08:42 何が禁止されるのか
11:18 企業が一番注意しなければならない例
14:27 企業が確認すべき事項(連絡先情報など)
19:28 企業が確認すべき事項(Cookie対応の実務ポイント)
21:55 改正までに行うべき準備
22:36 まとめ
連絡可能個人関連情報とは何か
平たくいうと、連絡可能個人関連情報とは、個人への連絡や情報伝達に利用できる個人関連情報であり、2026年改正個人情報保護法2条8項によって新設される類型である。メール送信、電気通信、電話、FAX、郵便、電報、訪問などで、連絡したり情報伝達できる情報を含む情報のことである。
連絡可能個人関連情報という名称自体が制度の趣旨を表している。
つまり、
「連絡可能な情報」 かつ 「個人情報には該当しない個人関連情報」
である。

制度創設の背景
メールアドレスや電話番号などは、一般的な感覚では重要な個人情報であり、適切に保護されるべきものと考えられている。
昨今では、フィッシング詐欺、特殊詐欺、強盗事件なども社会問題化しており、連絡先情報に対する保護の期待は極めて高い。
一方で、個人情報保護法上は、メールアドレスや電話番号が必ずしも個人情報に該当するとは限らず、十分な保護が及ばない場面が存在していた。
今回の改正は、このねじれを解消することを目的としている。
対象となる情報
- メールアドレス
- 電話番号
- 住所
- Cookie(プッシュ通知トークン等?)
- 委員会規則で指定される情報
今後の委員会規則やガイドラインによって対象範囲が具体化・追加される可能性があるため、継続的な確認が必要である。Cookie以外のトークンや類似技術についても、今後のガイドライン等を継続的に確認することが重要である。
改正法上の定義
改正法では、メール送信、電気通信、電話、郵便、訪問等によって個人への連絡や情報伝達を行うことが可能な情報が対象となる。
関連情報等も対象となる
規制対象は連絡先情報そのものだけではない。
例えば、
- メールアドレスと閲覧履歴
- 電話番号と問い合わせ履歴
が紐づいている場合には、それらも一体として規制対象となり得る。
また、容易照合性を有する情報についても対象となる。
メアド、Cookie、電話番号、住所等が含まれている仮名加工情報・匿名加工情報も対象になる(新個人情報保護法42条4項、46条の2)。
何が禁止されるのか
規制は「不適正取得の禁止」と「不適正利用の禁止」である。

規制は比較的限定的
今回の改正は、
「個人情報と同じ規制を全面的に課す」
というものではない。
規制内容は比較的限定的であり、不適正な取得や利用を禁止することである。
そのため、
「個人情報ではないから完全に対象外」
という整理は難しくなる一方、
「全面的な規制強化」
と理解する必要もない。
不適正利用の禁止(新31条の2第2項)
違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれのある方法による利用は禁止される。
フィッシング行為への利用や詐欺広告配信等が典型例として想定されている。
不適正取得の禁止(新31条の2第1項)
偽りその他不正の手段による取得は禁止される。
例えば、特定目的のみで利用すると説明しながら実際には第三者提供を予定していたような場合は問題となる可能性がある。
想定される禁止行為

- フィッシングサイトへの誘導
- 投資詐欺広告への利用
- 偽りの説明による取得
- 説明内容と異なる利用
特に企業実務では、
- 実態と異なる説明
などが問題となる可能性がある。
過去例のコピペミス・他社例のコピペミスなどで、不適正取得禁止・不適正利用禁止に該当しないよう十分な注意が必要である。悪意がなくても不適正取得や不適正利用に該当する余地があるため注意が必要である。
企業実務への影響
今回の改正で重要なのは、企業が意図的に個人情報該当性を避けて運用していたデータにも規制が及ぶ点である。
例えば、氏名を取得せずメールアドレスのみ取得しているケースや、電話番号のみ保有しているケースである。
これまでは非個人情報として整理していた場合に、今後は連絡可能個人関連情報として検討する必要がある。
Cookie対応で確認すべきポイント
外部送信規律との関係
Cookieについては個人情報保護法だけでなく、電気通信事業法の外部送信規律も重要となる。
既に外部送信規律へ適切に対応している事業者であれば、多くの場合は改正法対応との整合性を確保しやすいと考えられる。
Cookie以外の技術も確認する
対象はCookieに限定されない。
プッシュ通知トークンなど類似技術の利用状況についても整理し、外部ベンダーを含めて確認することが重要である。
企業が今すぐ行うべき点検事項
改正法施行前に対象情報の棚卸しと運用実態の確認を行うことが最重要である。
メールアドレス・電話番号・住所などの連絡先について
- 氏名なしで電話番号やメールアドレスや住所その他の連絡先などを取得していないか確認する
- 非個人情報として整理していないか確認する
- 取得・利用方法を点検する
- 委員会規則・ガイドラインを継続的に確認する

ケース1 会員登録でメールアドレスだけ取得
個人関連情報に該当しうる。
どのような取得方法を履践していて、どのような利用方法を行っているか確認する。
ケース2 SMS認証用の電話番号を取得
個人関連情報に該当しうる。二段階認証やフリーWifi等の登録用であれば、通常は不適正取得・不適正利用に該当しないと考えられる。
ケース3 問い合わせ履歴と電話番号を紐付け
個人関連情報に該当しうる。問合せ対応のみであれば、通常は不適正取得・不適正利用に該当しないと考えられる。
Cookieなどについて
- 電気通信事業法の外部送信規律対応済か
- クッキー同意やクッキーポリシーがあるか
- 取得・利用方法を点検する
- 委員会規則・ガイドラインを継続的に確認する

・外部送信規律対応要否判断フローチャート↓↓
https://www.mizu-machi.com/wp-content/uploads/2025/05/230419gaibusoushinkiritsu.pdf
・外部送信規律↓↓
https://cyberlawissues.hatenablog.com/entry/2023/01/23/185620
動画解説
Q&A
Q1. メールアドレスはすべて個人情報になりますか。
ならない。今回の改正は個人情報の定義を変更するものではなく、連絡可能個人関連情報という新しい分類を設けるものである。
Q2. メールアドレスはすべて連絡可能個人関連情報になりますか。
概ねなる。特定の個人に対する電子メールの送信に利用することができるものに限る(改正個人情報保護法2条8項3号括弧書き)。
※特電法上の電子メールに該当するとの想定
Q3. 規制内容は個人情報と同程度ですか。
現時点では主に不適正取得禁止および不適正利用禁止であり、個人情報と同等の規制ではない。なお、個人関連情報提供規制は別途前から存在する。
Q4. Cookie利用企業は全社対応が必要ですか。
Cookieや類似技術の利用状況を確認し、電気通信事業法の外部送信規律対応を含めて総点検することが望ましい。
Q5. 最優先で確認すべき事項は何ですか。
氏名を取得せず連絡先情報のみを取得している場合が存在しないか確認することである。
まとめ
連絡可能個人関連情報の規制内容自体はまだ限定的であるが、従来「個人情報ではないため法規制の対象外」と整理されていた情報について、新たな対応が必要になりうる。
企業はメールアドレス、電話番号、住所、Cookie等の取扱状況を整理し、取得方法および利用方法の適法性を早期に確認することが重要である。
関連資料集
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個人情報保護法、プライバシーガバナンスに関する理解の促進を目的として情報発信を行っています。
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執筆者プロフィール
弁護士 水町雅子(第二東京弁護士会、宮内・水町IT法律事務所所属)
SE(ITシステム開発)、コンサルティング等をシンクタンクにて行った後、弁護士登録。内閣官房・特定個人情報保護委員会にてマイナンバーの制度設計、ガイドライン作成、PIA制度化等を行う。
個人情報・ITに関して、首相官邸パーソナルデータに関する検討会参考人、内閣府「マイナンバーの利活用拡大のための検討タスクフォース」委員、こども家庭庁「こどもデータ連携の取組に関する検討会」委員、厚生労働省ITシステム等技術審査委員、東京都東京デジタルサービス会議構成員、東京都足立区情報公開・個人情報保護審議会委員、つくば市プライバシー影響評価制度検討懇話会委員、総務省・経産省・AMED実証事業等の支援等、実績豊富。
マイナンバー、個人情報、AI、医療情報、IT法務、企業法務、行政法務等に対応。書籍・論文執筆・講演のほか、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、雑誌、TV等メディアコメント多数。
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