【動画公開】オプトアウト規制の個人情報保護法2026年改正|提供先確認義務・オプトアウト禁止情報・これまでの規制の変遷

個人情報保護法2026年改正のうち、オプトアウト規制について、特に提供先確認義務、特定生体個人情報のオプトアウト禁止を解説する。オプトアウト制度の歴史から改正後の実務対応まで整理し、企業が行うべき対応及び消費者にできることを明確に示す。オプトアウト実施者は既存のオプトアウト運用を再点検した上で、提供先確認フローの整備と、顔特徴量データの取扱い見直しを行う必要がある。消費者は個人情報保護委員会Webサイトから全オプトアウトを一元的に確認できるので、拒否することが可能である。

はじめに

2026年個人情報保護法改正では、オプトアウト規制に関する改正内容が比較的明確である。特に、提供先確認義務の新設と特定生体個人情報のオプトアウト禁止は、オプトアウトを根拠にデータ提供を行う事業者、データ受領する事業者に直接影響する。

本記事では、オプトアウト規制の制度変遷を整理した上で、個人情報保護法2026年改正で企業が対応すべき実務事項を解説する。

オプトアウトの基礎(オプトアウトとは何か、オプトアウトの実例等)については以下のPart1動画を確認されたい。

2026年改正で事業者が行うべき対応

  • 既存のオプトアウト運用を再点検する
  • 提供先確認フローを構築する
  • 特定生体個人情報の第三者提供の有無・法的根拠を確認する
    • 提供している場合は法的根拠を再検討する(オプトアウト不可)
  • 委員会規則・ガイドライン改正を継続的に確認する

オプトアウト制度とは何か

オプトアウトとは、本人からの同意を取得しなくても、法定要件を満たすことで第三者提供を認める制度である(個人情報保護法27条2項)。

本人に対して拒否の機会を保障することを前提としており、個人情報保護法上の適法な第三者提供根拠の一つである。詳しくは、オプトアウトPart1ブログを参照されたい。

オプトアウト規制の歴史

個人情報保護法制定当初の規制

個人情報保護法法制定当初は、公表等(容易に知り得る状態に置く)を行えばオプトアウトによる第三者提供が可能であった。

しかし、公表先が事業者のウェブサイトのみである場合、本人が制度の存在を認識しにくいという課題があった。当職が首相官邸会議で課題改善提案を行った。

2015年改正:届出義務と一元公表制度

2015年個人情報保護法改正では、個人情報保護委員会への届出義務が導入された。

これにより、個人情報保護委員会がオプトアウト事業者を一元的に公表し、本人が制度の存在を把握しやすくなった。

また、要配慮個人情報については、オプトアウトによる第三者提供が禁止された。

2020年改正:オプトアウト連鎖禁止

2020年個人情報保護法改正では、オプトアウトにより取得した個人データをさらにオプトアウトによって提供する行為が禁止された。

いわゆる「オプトアウト連鎖禁止」である。

さらに、不適正取得情報についてもオプトアウト提供が禁止された。

2026年改正①提供先確認義務の新設

確認対象となる事項

2026年個人情報保護法改正では、オプトアウト提供を行う事業者に対し、提供先確認義務が課される(改正個人情報保護法27条7項)。

確認対象として想定されている事項は次のとおりである。

  • 提供先の確認
    • 提供先の氏名又は名称
    • 提供先の住所
    • 提供先代表者の氏名
  • 提供先における利用目的

実務への影響

契約先のみにデータ提供している事業者であれば、既存契約書の内容を活用できる可能性がある。但し、利用目的等、確認事項が契約書で網羅されているか確認する必要がある。

これに対して、不特定者から提供依頼を受けている事業者は、確認手続を新たに設計する必要がありうる。

確認方法としては、契約書、申請書、Webフォーム等の活用が考えられる。

2026年改正②特定生体個人情報のオプトアウト禁止

特定生体個人情報とは何か

特定生体個人情報(改正個人情報保護法16条5項)とは、顔認識や顔認証に利用できる顔特徴量データ等を指す。

実務で確認すべき事項

事業者はまず、自社が特定生体個人情報を第三者提供しているかを確認する必要がある。

オプトアウトを根拠としている場合は、提供停止又は別の適法化根拠への切替えを検討しなければならない。

消費者にできること

  • 嫌な場合は、拒否の申し出をする

動画解説

Part1 個人情報保護法のオプトアウト制度の基礎(オプトアウトとは何か、オプトアウトの実例)

Part2 オプトアウト規制の個人情報保護法2026年改正と実務対応

Q&A

Q1 オプトアウト制度は違法なのか

違法ではない。個人情報保護法が認める適法な第三者提供(個人情報保護法27条2項)の一つである。

Q2 オプトアウト制度は2026年個人情報保護法改正後も利用できるのか

利用できる(個人情報保護法27条2項)。ただし提供先確認義務など追加の規制に対応する必要がある。なお、オプトアウトに対しては規制強化の一途をたどっているため、2026年改正に限らず、継続的にオプトアウトに対する動向をウォッチしていく必要がある。

Q3 特定生体個人情報はオプトアウト提供できるのか

できない。個人情報保護法2026年改正によりオプトアウト提供禁止となる(改正個人情報保護法27条2項但書)。

Q4 提供先確認義務では何を確認するのか

提供先の氏名又は名称、住所、代表者氏名、利用目的を確認する(改正個人情報保護法27条7項)。

Q5 要配慮個人情報はオプトアウト提供できるのか

できない。個人情報保護法2026年改正前よりオプトアウト提供禁止である(改正個人情報保護法27条2項但書)。

Q6 オプトアウトで取得した個人情報はオプトアウト提供できるのか

できない。個人情報保護法2026年改正前よりオプトアウト提供禁止である(改正個人情報保護法27条2項但書)。

まとめ

オプトアウト制度は引き続き適法な第三者提供制度として維持される。一方で、個人情報保護法の改正のたびに規制は強化されており、個人情報保護法2026年改正では提供先確認義務と特定生体個人情報のオプトアウト禁止が追加された。

事業者は既存運用の適法性確認に加え、新たな確認フローの整備とデータ分類の再点検を行うことが重要である。

執筆者プロフィール

弁護士 水町雅子(第二東京弁護士会、宮内・水町IT法律事務所所属)

SE(ITシステム開発)、コンサルティング等をシンクタンクにて行った後、弁護士登録。内閣官房・特定個人情報保護委員会にてマイナンバーの制度設計、ガイドライン作成、PIA制度化等を行う。
個人情報・ITに関して、首相官邸パーソナルデータに関する検討会参考人、内閣府「マイナンバーの利活用拡大のための検討タスクフォース」委員、こども家庭庁「こどもデータ連携の取組に関する検討会」委員、厚生労働省ITシステム等技術審査委員、東京都東京デジタルサービス会議構成員、東京都足立区情報公開・個人情報保護審議会委員、つくば市プライバシー影響評価制度検討懇話会委員、総務省・経産省・AMED実証事業等の支援等、実績豊富。
マイナンバー、個人情報、AI、医療情報、IT法務、企業法務、行政法務等に対応。書籍・論文執筆・講演のほか、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、雑誌、TV等メディアコメント多数。

詳細な略歴はこちら